VISAやMasterCard、AMEXにJCB、DinersClubの5つ、どれも名前は聞いたことがあるけど、この謎のアルファベット組織は結局のところ一体何の団体なのかご存知ですか?
VISAやMasterCardなどのマークが掲載されたステッカーは街中で最もよく目にするステッカーといっても過言ではないでしょう。
国際ブランドって何?
国際ブランドとはVISAやMasterCard、JCB、American Express、Diners、銀聯、Discoverなどのマーク、団体こと。これらの団体は「ブランドホルダー」とも呼ばれます。
仕事としては、それぞれの国際ブランドが使い方のルール、規則を設けたり、決済の新しい形を作り出したり、非接触技術の開発をしたり、各国の各お店で自ブランドが使えるように調整をしたり、カードを発行したい会社にライセンスを与えるかどうかの判断などの業務を行っています。
国際ブランドのマークはアクセプタンスマークと呼ばれます。アクセプタンスとは「受け入れ」という意味で、私達利用者はこのマークがあれば該当するお店で使えるということを認識できます。
国際ブランドの分類
国際ブランドの5団体は大きく分けると2つの種類に分けられます。
- 決済のシステムを所有、管理してブランドを広めることに注力するブランド
- 上記のブランド業務に加えて自らクレジットカードを発行し、加盟店を増やす業務を行うブランド
1はVisa、MasterCard、2はJCB、AMEX、Dinersが代表として挙げられます。
VISAやMasterCardには自身が「独自に」発行するクレジットカードというのはないということです。例えば、三井住友カードの場合、三井住友カード株式会社とVISAが提携して発行しているクレジットカードです。たまにある勘違いですが、三井住友カードは、あくまでVISAのブランドを借りている提携先の1つであって、本家VISAではありません。
VISAは自らのブランド力と利用範囲を三井住友銀行に与えて、三井住友銀行側は発行業務やサービス運営業務に注力します。VISAやMasterCardは決済で得る手数料の一部をもらって利益を得ています。
一方でJCBにはJCB自身が発行するJCBカード(オリジナルシリーズ)が、アメックスにもアメックスカード、ダイナースクラブもダイナースクラブカードをブランド自らが発行しています。これらのカードはプロパーカードと呼ばれています。これらのプロパーカードに加えて、VISAやMasterCardと同様に提携カードも発行しています。
7大国際ブランドの時代
国際ブランドは現在7大国際ブランドの時代と言われています。
VISA、MasterCard、JCB、American Express、Dinersの5大ブランドが日本で知られていて日本の多くの場所で使える国際ブランドで、世界ではそれに加えて、中国初の国際ブランドである銀聯、アメリカンのDiscoverがメジャーな国際ブランドとして知られており、合わせて7大国際ブランドと呼ばれます。
VISA
VISAは世界で最も使われている国際ブランドです。
本社はアメリカのカリフォルニアで誕生は1958年。そのシェアは国際ブランドの50−60%近くを占めています。
迷ったらVISAのクレジットカードを作れば使えないということは9割9分ありません。
MasterCard
MasterCardはVISAに次いで使われているメジャーな国際ブランドです。
前身であるインターバンクカードアソシエーションの設立は1966年。そのシェアは20−30%ほどです。
ヨーロッパ圏で強い国際ブランドだと言えます。VISAとMasterCardを保有していれば世界で使えないところは殆どないと言えるでしょう。
現在ではNFCの決済の領域でシェアを拡大しています。
JCB
JCBは日本初、日本で唯一の国際ブランドです。
前身である日本クレジットビューローは1961年。シェアは世界で見たら1%ほどですが、日本だと高いシェアを誇ります。
世界だと日本人がよく行く観光地、ハワイや台湾などで使えます。後払い式電子マネーのQUICPayの発行元でもある。
American Express
American Expressは元々はアメリカで宅配業者→トラベラーズチェックで金融業→1958年にクレジットカード業界に参入という経路で発足しました。シェアは3%ほど。
自分自身で発行しているプロパーカード(グリーン、ゴールド、プラチナ、センチュリオン)はブランドイメージが高く、ゴールドカード以上では年会費も高め。旅行向けのサービスが充実しているのが特徴。
日本だとJCBと提携しており、JCBが使える場所ではAmerican Expressも使えます(JCBは手数料を貰える、アメックスは日本国内で使えるようになるのでwinwinの関係になる)。
DinersClub
DinersClubは世界で初めてクレジットカードを発明したとされますが、諸説あるため正確なところははっきりしていません。世界的なシェアは1%以下。
限られた人しか持てないというブランドイメージのハイステータスなクレジットカードを自ら発行している。ブラックカードのダイナースクラブプレミアムカードはその基準などは公式には公開されておらず、American Expressのプロパーカード最高クラスのセンチュリオンカードと合わせて2大ブラックカードの一角に数えられている。
銀聯(UNION Pay)
銀聯は中国が国としてバックアップをしている国際ブランド。そのため、中国では90%近いシェアを誇ります。
取引件数自体は世界の12−13%ほどなのですが、銀聯ブランドのデビットカードの取引高はVISAのクレジットカードも上回っています(クレジットカードとデビットカードを分けた統計)。
日本では三井住友銀行が銀聯ブランドのカードも取り扱っています。
で、結局クレカを作るならどのブランドがいいの?
その他の決済ネットワークの違いなどを深く掘り下げてしまうと混乱してしまいますし、ユーザーである我々がお店が支払う手数料について考える必要もありません。ここまで書いておいてなんだと思われるかもしれませんが、日本国内でしたら国際ブランドでカードを選ぶ必要性はさほどありません。
VISA、MasterCard、JCB、American Express、Dinersの国際ブランドのうちから2つ持っていれば問題なく決済可能でしょう。
- VISAとMasterCardのいずれか
- JCB、AMEX、Dinersのいずれか
という組み合わせだと国内ではさらに盤石です。海外利用ではVISAとMasterCardの2枚持ちだと安心(中国除く)。
フィンテックが発達して多くのお店で5大国際ブランドであれば殆どが利用できるようになってきた近年では、どの国際ブランドを選ぶかよりも、どのカードを作るか、ということのほうが重要です。